
2016年公開の「64-ロクヨン- 前編/後編」です。
※2020年11月28日現在Netflixで視聴できる映画になりますのでご了承ください。
横山秀夫のベストセラー小説の映画化ですが、NHKでドラマも放送されていました。私もリアルタイムで観ていましたが、主人公はピエール瀧が演じていました。
映画は、主人公を佐藤浩市が演じていいます。
昭和64年に起こった未解決誘拐事件(通称「ロクヨン」)をきっかけに、警察内部の対立や、記者クラブとの確執を織り交ぜ、事件の確信に迫っていきます。
昭和64年
昭和64年(1989年)は、1月1日から1月7日のわずか7日間で昭和から平成に年号が変わった年です。
物語では、この昭和64年におこった未解決事件を、通称「ロクヨン」と呼ばれています。
たった7日間しかなかったため、話題になったのがこの年の硬貨です。昭和64年の10円硬貨で約300円ぐらいの値がついていました。
この年の年明け日経平均は、3万を超えていました。まだまだバブル絶頂期ですね。
小渕官房長官が「平成」という年号を掲げて、国中が喪に服していた印象はあります。
新宿鮫
この映画「64-ロクヨン- 前編/後編」でも、警察内部のキャリアとの確執や、横暴なキャリアの振る舞いが出てきます。
小説「新宿鮫」を読んで、警察内部でキャリアとノンキャリアの確執があるのを知りました。
「新宿鮫」は、大沢在昌原作のハードボイルド小説でキャリアである刑事鮫島が、ある警察内部の秘密を託されたことから、上層部からもマークされ普通なら出世できるキャリアでありながら、新宿署の防犯課(生活安全課)の警部のまま出世は出来ず、そこで事件を解決していくというシリーズ物の小説です。
普通なら課長や課長代理になれる階級でありながら、その職に就かせてもらえず、新宿署でも浮いた存在でした。通常は二人組で捜査にあたりますが、鮫島は組む相手がおらず、単独で捜査にあたります。
しかし、警察官としての能力は高く検挙率もトップで、彼を知るものは「新宿鮫」と呼んでいました。
警察でなくても、組織というものは、長い物には巻かれろではありませんが、皆と同じ方向を向かないと疎まれるものです。
正しい事を正しいと言える環境というのは、口でいうのは簡単ですがなかなか難しいものです。
実在の事件
この物語は誘拐事件を扱っていますが、この物語と同じような事件が実際にも起こっています。
1987年9月14日群馬県高崎市で、5歳の男児が誘拐され、16日遺体となって発見されました。事件は2002年に公訴時効が成立しています。
1987年9月14日14時30分頃、男児は近くの神社に遊びに行くと言って出て行きますが、10分後祖母から男児の姿が見えないことに気づきます。
18時30分頃、家族は付近を探しますが見つからず、高崎署に捜索願いを出しています。
18時42分、犯人から一度目の脅迫電話が男児の自宅にかかってきます。犯人は2,000万円を要求します。
19時47分 犯人から二度目の電話があり、再度2,000万円をよこせと言ってきます。
20時03分 犯人から三度目の電話があり、この時は誘拐された男児を電話口に出しています。
その後翌朝まで、ベルを2、3度鳴らして切るという行為が翌朝まで数10回続いたといいます。
9月16日7時50分 四度目の電話があります。犯人は「今日の夕方までに1,000万円用意しろ」と言い、また電話すると切りますが、その後事件は最悪の結果を迎えます。
同日午後、自宅から5キロほど離れた川で遺体が発見されます。
解剖の結果、死亡推定時刻は15日10時頃だったそうです。
つまり、三度目の電話から四度目の電話の間に殺されていたということになります。
三度目の電話から四度目の電話までかなり時間が空いています。四度目の電話があった時、この会話は27秒間されていましたが、逆探知はされていませんでした。警察は15日で逆探知を切り上げてしまっていました。それまでの逆探知で、高崎市西部を含む「群馬・長野局」管内からかけられていたことは分かっています。しかし、目撃情報はあったものの、有力な手がかりがないまま公訴時効を迎えています。
現在も、群馬県高崎警察署のHPでは情報を呼びかけています。
コメント