
今回ご紹介する映画は、2017年公開の是枝裕和監督作品「三度目の殺人」です
※10月3日現在Netflixで視聴できる映画となっていますのでご了承下さい。
是枝裕和監督は2018年に「万引き家族」でパルムドールを受賞しています。
福山雅治が主演になるのかと思いますが、役所広司、広瀬すずらの演技が際立っています。「狐狼の血」で見せた演技とはまた違った演技を見せます。
広瀬すずはこの映画で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞しています。
殺人事件の容疑者を弁護する弁護士の「重盛」を福山雅治が演じています。そして殺人犯の「三隅」を役所広司が演じています。謎を、最後まで観る人に託した形の映画になっています。
よくこのブログでも言っていますが、観る人によって捉え方は様々だと思いますので、最後の答えは色々あると思います。
三人目は?
この映画は、数字の「3」にスポットが当たっています。
三度目の殺人
福山雅治、役所広司、広瀬すずの三人
三隅
裁判官、検察官、弁護人の三者
何故か、劇中には福山雅治、役所広司、広瀬すずの三人の映像が出てきます。
「本人の意思とは関係なく、人の命は生まれたり、奪われたりしていく」というセリフが出てきます。
それを理不尽と考えるのか、それが摂理と考えるのか。
唯一死刑の判決を下せる裁判官はどうなのか。
難しいことは抜きにしても、「三度目の殺人」の三度目とは何なのか?
司法の船
重盛(福山雅治)は「真実」は二の次で、勝利に拘る弁護士として描かれています。
法定戦術という言葉が出てきます。
裁判に勝つためには、裁判官の心象が大切で、「真実」がわからないのであれば、メリットのある結果に向けて証拠集めや証言をするといった方法で裁判を進めようとします。
強盗が目的の殺人なのか、殺した後にお金を取ろうと思ったのか。これだけで刑が違ってきます。
また、裁判官、検察官、弁護人は同じ司法の船に乗っているという話が出てきます。ある程度前例により暗黙の了解のようなものが存在し、粛々と目的に向かって進んで行っているというような内容です。
よほどのことがない限り判決は覆らないですよと暗黙に言っています。これが現実でもそうなのかは分かりませんが、問われているのは「真実」です。
果たして「真実」は何のか?
映画をみていただければ分かりますが、役所広司演じる殺人犯の証拠は、供述と状況証拠以外ありません。目撃者もいません。?、目撃者はいるかもしれませんが、映画の中でいるという表現は出てきません。
彼は、犯人なのでしょうか?
映画は、そう問いかけてくるように感じます。
劇中かなりの時間、面会室での、福山雅治と役所広司のやり取りが映されます。
観ている我々も、福山雅治同様、役所広司から聞かされる話からしか、真実を知る術がありません。
そこで我々は役所広司演じる三隅は、何者なんだろうか?と考えます。
このように「?」がいっぱいの映画です。
皆様も是非、秋の夜長に映画を観て考察に耽ってみて下さい。
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